豪雨災害のとき、地方の田舎は、大都会の犠牲になる。
今回の台風19号。
多くの方がお亡くなりになった大災害だが、地方での被害が多かったというイメージがないだろうか?
田舎部での被害
ニュースで「ダムの緊急放流」という言葉を耳にした方も多いのではないだろうか。
そして、今回の台風で多かったのが河川の決壊である。
その数は59の河川、決壊は90箇所に及んだ。
なぜこのようなことが起きたのか。
洪水を防ぐ。
日本のほぼすべての河川は、管理されている。
豪雨の際の増水や、雨が降らない時の干ばつなど、河川の流量は常に調整されているといってもいいだろう。
その役割を大きく担っているのがダムだ。
ダムの役割
豪雨災害におけるダムの役割は、洪水の防止である。
大量の雨が降れば、川には大量の雨水が流れ込み、水量は大幅に増加する。
川に多くの水が流れ込むと、排水できなくなり、洪水が起こったり堤防が決壊したりする。
今回の台風19号の大雨でも同じことが起きたために、多くの堤防が決壊した。
雨が多く降った場合、水門を閉め、川に流れ出す水量を減らす。
すると、川の水量を排水可能なギリギリにとどめることができる。
ダムに雨水を貯水することによるものである。
そして雨が止み、川に流れ込む水が減ったら少しづつ放流し、安全に排水するという流れである。
緊急放流
ダムといっても、貯められる水の量には上限があることを誰もが分かっているだろう。
無限に水が入る池などこの世界には存在しない。
ダムに貯めることができる以上の雨が降った場合でも、通常と同じように水門を閉め、川が増水しないように努める。
しかし、想定以上の雨が降った場合はどうなるのだろうか。
そのまま水門を閉め続ければ、ダムは溢れるだろう。
ダムの上部には、ダム管理のための施設や電子機器などがある。
これらが水に浸かれば、ダムは制御不能となり、ただの滝になってしまう。
これを防ぐのが緊急放流という仕組みである。
ダムを守るために、ダムを開くのである。
当たり前だが、ダムを開けば下流で洪水が起こる可能性はとても高くなる。
ダムを守らなければ、より被害が拡大する可能性があるため、仕方なく放流するのである。
そのため、緊急放流は、下流の地域に通知をして、避難してもらった上で実施されなければならない。
犠牲となる下流地域
この際、ダムの下流地域が緊急放流で決壊するリスクを一手に引き受けていることになる。
下流地域は都市部であることが多い。
下流地域で氾濫すれば、多くの人々・施設が被害を受け、その損失は計り知れないものとなるだろう。
そのため、都市部を守るために上流部でわざと氾濫させているの可能性がある。
これがいわゆる「政治的判断」ではないだろうか。